オンプレは時代遅れなのか? クラウドと比較しました
企業へ新たにサーバーを導入する際に「オンプレかクラウドなのか」を課題とする企業も多いのではないでしょうか。近年ではテレワークの普及などもあり、クラウドサービスを選択する企業が増えてきました。一方で「オンプレは時代遅れなのか?」と言うと、一概にそうとは言い切れません。どちらにもメリット・デメリットがあるため、企業の環境が必要とする機能などによって選ぶ必要があるでしょう。
本記事では、オンプレとクラウドそれぞれのメリット・デメリットを紹介し、どちらがどのような企業に向いているのかを解説します。
オンプレは時代遅れと言われている理由は?
2000年代後半になるとクラウドサービスの数が増え、セキュリティ面への不安も少なくなりました。さらに導入コストも安いことから、オンプレからクラウドに移行する企業も増えてきたとされています。また働き方改革などからテレワークが普及し、社内にいなくてもアクセスできるクラウドが注目されるようになりました。その結果「オンプレは時代遅れ」という言葉が出てきてしまったのです。
一概に「どちらが良い」とは言えない
一方で、オンプレやクラウドにはそれぞれメリット・デメリットがあるため「どちらの方が良い」と一方的に決めつけられるものではないとされています。企業ごとにどちらが適しているかは異なるため、一概に「どちらの方が良い」というものではないでしょう。
自社にどちらが適しているかを知るには、まずそれぞれのメリット・デメリットをきちんと理解することから始めましょう。
オンプレのメリット
オンプレは自社内にサーバーを構築・運用する形態を指します。主に以下のようなメリットが挙げられます。
独自のセキュリティ対策が可能
オンプレミスの大きな特長の一つが、独自のセキュリティ対策ができる点です。クラウドの場合はブラウザ上で使用しますが、オンプレミスは基本的に社内ネットワークを使用します。自社内のネットワークのみを利用するため、独自のセキュリティ対策を施すことが可能です。
また外部ネットワークとつなぐことがないため、安全な経路でやりとりが可能であり、情報漏えいやハッキングなどのリスクを最小限にできるのが魅力です。
さらにセキュリティレベルも企業の求めるレベルに合わせることができます。例えば金融機関や大手企業などは、一定水準よりも高いセキュリティレベルにするなどのカスタマイズも可能です。
設置場所の選定やアクセス制限、アンチウイルスソフト、その他セキュリティ対策システムなど、さまざまなセキュリティを設定できます。
カスタマイズの自由度が高い
カスタマイズの自由度が高いのもオンプレの特長です。オンプレはコストとリソースの許す限り、機能の追加や既存システムとの連携、容量の追加など自社の環境に合わせて設計することができます。
例えば、他社ではあまり利用しないような特殊なデータのやりとりや、自社システムとの連携なども自由にカスタマイズ可能です。
品質が安定している
オンプレはサーバーが自社のネットワーク内にあるため、インターネットを経由しなくても接続が可能です。そのため、常に安定した品質での通信が可能です。
クラウドは他のユーザーも利用するため、他のユーザーが過度な利用をすればサーバーが重くなってしまう可能性も考えられます。オンプレはその心配がなく、サーバー間のレスポンスが早いため、ストレスなく利用できるでしょう。
予算化しやすい
オンプレは一旦システムを構築してしまえば、毎月ほぼ一定額のコストで運用ができるため予算化しやすいでしょう。
特に長期間にわたって利用するシステムだったり、利用者が多かったりする場合、自社所有のオンプレの方がクラウドの料金の累計を下回ることもあります。導入する際は初期費用だけでなく、ランニングコストや利用期間、利用人数なども考慮する必要があるでしょう。
オンプレのデメリット
ここではオンプレの具体的なデメリットをご紹介します。
初期費用がクラウドと比較すると高額
オンプレは、全て自社で調達・構築するため、クラウドと比較すると初期費用が高額になります。サーバー1台が数百万円になることもあるため、初期費用だけで1,000万円を超える場合も多いでしょう。さらに運用するためのサーバールームや、空調などの電気代、管理する専門スタッフの人件費などのランニングコストも必要です。
また機器の老朽化や、製品のサポートが終了した場合などの対応も、全て自社で行う必要があります。
構築に時間がかかる
オンプレは自社に合わせて環境を調達するため、構築に時間がかかります。規模にもよりますが、利用できるようになるまで数週間〜数ヶ月の期間を必要とします。カスタマイズ部分が多ければさらに長期間になる可能性もあるでしょう。
そのため、オンプレを導入したいと考えている場合は、早めに導入計画を立てる必要があります。
社外からのアクセスが難しい
オンプレは自社内のネットワークを使用するため、社外からのアクセスは難しくなります。そのため、テレワークや外出中・出張中の社員がアクセスするには、SSOによるクライアント認証などを行わなくてはいけません。
クラウドのメリット
オンプレと同様にクラウドにもメリット・デメリットがあります。ここではメリットをご紹介します。
初期費用を抑えられる
クラウドは、オンプレのように自社内にサーバー環境を構築する必要がないため、初期費用を安く抑えられます。クラウドの料金体系は「使った分だけ支払う」という従量課金制がほとんどのため、無駄なコストを支払う必要がありません。
場所を選ばずサービスを利用できる
クラウドはインターネット回線を利用しているため、どこからでもアクセスができるのが魅力です。オンプレの場合、特別な手続きをしなければ社外からアクセスできません。クラウドであれば仕事場所を問わずアクセスができるため、テレワークや外出中の社員も問題なくアクセスできます。
スムーズに利用開始ができる
クラウドは最短で契約当日から利用することができます。アカウントを発行し、初期設定を行えばすぐに利用開始できるため、導入に時間をかけたくない企業に向いているでしょう。
またサーバーのメンテナンスなどは全てベンダー側が行うため、保守・運用にかかるコストなども不要です。専門知識が不要なため、IT関連に詳しい社員がいなくても導入できるのが魅力です。
クラウドのデメリット
ここではクラウドのデメリットをご紹介します。
カスタマイズ性はオンプレに劣る
クラウドはベンダー側が提供するサービスを利用するため、カスタマイズ性はオンプレに比べて限界があります。提供されるサービスによってある程度のカスタマイズが可能な場合もありますが、オンプレの自由度には及びません。
そのため「既存のシステムと連携したい」など、自社に適した環境を重視する場合は導入に慎重になる必要があるでしょう。
長期的なコストが高くなる場合もある
クラウドは「使った分だけ料金を支払う」という分かりやすい料金体系ですが、長期的な面で見るとオンプレよりもコストが高くなる可能性があります。例えば利用人数が増えたり、長期間にわたってシステムを利用したりする場合、最終的なコストはオンプレの方が安くなるケースがあるので注意しましょう。
両方を使うという発想もある
オンプレとクラウドはそれぞれに、向き不向きがあることをお伝えしました。これを踏まえて「どちらか一方」ではなく「両方を使う」という発想もあります。
どちらか一方に統一した方が、管理や保守などを簡単に行えるように思えますが、それぞれ得意なことが違うため、両方を使うという柔軟な発想を持つことも大切とされています。
まとめ
「オンプレは時代遅れ」などということは決してなく、ただクラウドと向いていること、向いていないことが違うだけです。そのため自社に導入しようとする際には、自社が必要としている機能や条件などを明確にして選ぶと良いでしょう。また場合によっては、オンプレとクラウドをどちらも利用するという選択肢もあることを知っておきましょう。