オンプレサーバーの メリット・デメリットを比較
サーバーを構築する際に、オンプレミスとクラウド、どちらを選択するか悩む企業も多いのではないでしょうか。オンプレミスは自社内にサーバーを構築する方法で、昔から行われてきた方法でした。本記事ではオンプレサーバーのメリット・デメリットについてご紹介します。
オンプレサーバーとは
オンプレサーバーとは、サーバーを自社内に構築して運用する形態を指します。オンプレミスと同様の意味で使われることもあります。クラウドサービスが台頭するまでは、どの企業もオンプレサーバーが主流でした。
オンプレサーバーは自社に必要なサーバーを調達し、要件を満たせるようにアプリケーションをインストールします。そして構築後は自社内でメンテナンスや監視、セキュリティ対策、緊急時の対応などを行います。そのためオンプレサーバーを導入する際は、専門知識を持った人員の確保と専門部署の設置など、運用方法についても考える必要があります。
オンプレサーバーに必要なコスト
オンプレサーバーは企業の環境に合わせて導入するため、企業ごとに価格が大きく異なります。主に下記のコストが必要とされています。
導入コスト
ハードウェア、ソフトウェア、ライセンスの導入費用など。こうした装置に合わせた電源、棚、空調などの付帯設備も必要です。
運用コスト
障害監視や保守メンテナンスの経費が必要です。さらにハードウェアを安定的に稼働させるため、空調の電気料金も別途必要となるでしょう。
またハードウェアやソフトウェアにおいて、保守サポートの契約が必要な場合は、事業者と個別に締結します。
オンプレサーバーのメリット
オンプレサーバーの具体的なメリットには下記が挙げられます。
セキュリティの安全性が高い
オンプレサーバーは自社内にネットワークシステムを構築します。オンプレサーバーを利用する人は自社内に限定されるため、第三者が入りにくくなります。外部からの攻撃を受けにくいため、重要な情報も安全に保管することができるでしょう。
例えば金融業界や大手企業など、高いセキュリティ基準を必要とする企業では、オンプレサーバーの方が適しているといえるでしょう。オンプレサーバーであればコストとリソースが許すだけ、高いセキュリティレベルを設定できます。
カスタマイズ性が高い
オンプレサーバーはカスタマイズ性が高いため、自社に適したサーバーを構築できます。共用サーバーなどを利用する場合、提供するベンダーのポリシーなどにより、対応していないアプリケーションがある可能性もあります。また他のユーザーの利用によってパフォーマンスに影響が出ることもあるでしょう。
一方、自社内で独自に構築するオンプレサーバーであれば、自社に必要な機能だけに特化したものを用意できます。例えば、将来的に拡張する予定がある場合、あらかじめ容量の多いサーバーを用意しておけば、将来の変化に柔軟に対応できるでしょう。
社内システムと連携しやすい
オンプレサーバーは社内に構築されるため、同じネットワーク内にある他の社内システムとの連携や結合がしやすいでしょう。インターネット経由ではなく、社内のネットワーク内でデータのやり取りができるため、より安全に行えます。
さらにデータのやり取りも自社のルールに基づいて運用できるため、API接続が必要な場合や、FTPSでないと対応できないなどの事態も起こりにくいでしょう。
オンプレサーバーのデメリット
オンプレサーバーはメリットも多いですが、デメリットもあります。導入時にはどちらも理解しておく必要があるでしょう。ここではデメリットをご紹介します。
導入コストが高い
オンプレサーバーは、自社内で全てを構築するため、導入コストが高額です。サーバー機器やネットワーク回線の契約など、全てを導入するにはかなりのコストが必要です。サーバーの価格は求める機能によって大きく異なりますが、1台につき数百万円が必要となることも珍しくないでしょう。
大規模運用や長期間の運用が予定されているのであれば、数年で回収できるモデルを設定するなど、費用分散も可能です。しかし短期間の利用であれば、コストにおけるメリットはほとんどないでしょう。
導入後も資産管理が必要
オンプレサーバーは導入後の資産管理も自社で行わなくてはいけません。そのため専門知識を持った人員の確保が必要となります。
さらに管理のための場所、空調の電気代なども必要です。また機器の老朽化や、製品のサポートが終了した場合、ハードウェアやソフトウェアも再構築が必要となるでしょう。
構築に時間がかかる
オンプレサーバーは社内に新しく構築するため、完成までに数週間から数ヶ月の時間を要します。要件整理、設計、構築、テスト、リリースなど一連の作業を行う必要があるため、どうしても時間がかかってしまいます。
そのため、例えば繁忙期など、急遽新しいシステムが必要になった場合には対応できないでしょう。あらかじめ計画的にスケジュールを立て、それに合わせて業務のスケジュールを組む必要があります。
クラウドサーバーとの違い
オンプレサーバーと比較されることが多いのが「クラウドサーバー」です。クラウドはオンプレサーバーと異なり、自社内に構築するのではなく、インターネット経由でシステムを利用します。クラウドのベンダーが用意したリソースを利用し、利用料に応じて料金を支払います。
オンプレサーバーとの大きな違いは、自社でサーバーなどを保有しないという点です。
クラウドのメリット
クラウドサーバーのメリットには「導入コストが安い」「導入が簡単」などが挙げられます。
クラウドはオンプレサーバーのようにシステムを一から構築する必要がないため、導入コストを抑えられます。さらに利用した分だけ料金を支払う「従量課金制」を導入しているため、使用量が少ない場合はコスト削減になるでしょう。
また調達に時間がかからないため、早ければ契約したその日から利用することが可能です。
クラウドのデメリット
クラウドサーバーのデメリットは、ベンダーの管理下にあるためカスタマイズの自由度が低い点です。自由度が低いため、自社のビジネスに必要な機能や要件が満たせない可能性もあるでしょう。
さらに他のユーザーとサーバーやネットワークを共有するため、他のユーザーが負担のかかる利用をすれば、その他のユーザーのパフォーマンスが落ちる可能性があります。
また長期的に利用する場合、オンプレサーバーよりもコストが高くなる可能性があります。クラウドは、使用料金に応じて金額が変動する従量課金制を導入している場合が多く、利用人数が多く利用期間が長くなるほどコストがかかります。そのため長期的な面で見ると、クラウドの方が、費用が高額になるケースもあるので注意が必要です。
オンプレサーバーとクラウドサーバーのハイブリッドも登場している
近年では、オンプレサーバーとクラウドサーバーの両方のメリットを取り入れた「ハイブリッドクラウド」も登場しています。ハイブリッドクラウドは、オンプレサーバーとクラウドサーバーを組み合わせた運用形態を指します。
ハイブリッドクラウドでは、クラウドサーバーのようにコストを抑えつつも、オンプレサーバーのような強固なセキュリティ面を持っています。まだ提供されている数は少ないですが、どちらのメリットも持つサービスを利用したい場合は、ハイブリッドクラウドも検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
オンプレサーバーは自社内で構築・運用が可能なため、セキュリティの安全性やカスタマイズ性が高いのが特長です。ただし、コストや導入までの時間的なデメリットもあることを知っておきましょう。
オンプレサーバーとクラウドサーバー、どちらが自社に適しているかを見極めて選択することが大切です。またオンプレサーバーも、サービスを提供するベンダーによってコストや機能などが異なりますので、しっかり検討を進めていきましょう。